野菜作りの基本は「土づくり」から。国内産完熟堆肥を使用、土質から見直し安心・安全な野菜を届けたい。
太郎グループ
組合長 大坪義揚さん
代々農業を営む家に生まれ、大学で農業を学んだ後、実家の農業生産法人「大坪物産」に参加。父が中心となり立ち上げた生産組織「太郎グループ」の組合長を約20年間務めると同時に、販売部門を担う「株式会社 太郎」の社長も務めています。学生時代からマラソンに打ち込み、2023年の「福岡県民スポーツ大会」の市町村対抗駅伝では区間賞を受賞した“走る農業マン”です。
- 認証品目
- こまつな
- ねぎ
- ほうれんそう
- みずな
- アスパラガス
- しゅんぎく
「太郎グループ」について教えてください
「太郎グループ」は久留米市、朝倉市、大刀洗町に拠点を置く7軒の生産者からなる組織で、各生産者が育てた野菜の集荷から包装、出荷までを一括して行っています。
グループ全体で17ヘクタール(約5万坪)の農場があり、年間を通してねぎ、こまつな、みずな、ほうれんそうを中心に生産しています。
グループの立ち上げのきっかけとなったのは、私の父である先代の「自信をもって育てた野菜を、より消費者のニーズに合った形で出荷したい」という想いでした。
今から約25年前、ねぎを中心に生産していた父は、出荷団体に出荷する際の1パック100gという規定がこれからの時代に合わなくなるのではと考えていました。ところが、さまざまな品種を扱う出荷団体の枠組みの中で、ねぎだけ少量規格に対応するのは難しく、父は独立して出荷を行うことに。当初は私の実家の「大坪物産」だけで行っていたのですが、父の想いに賛同した近隣の生産者が参画するようになり、次第に規模が大きくなってきました。
そこで2004年に、集荷した野菜を一括して梱包するパッケージセンターの建設と同時に農業生産者組織「太郎グループ」を立ち上げました。販売部門は2002年に設立した「有限会社 太郎」(2008年に株式会社へ変更)が担っています。
「太郎グループ」の生産から出荷までの仕組みを教えてください
グループ全体で取り決めている堆肥の使用や生産のデータ管理などを守りながら各生産者が野菜を栽培しています。収穫した野菜はグループの保冷車が1日3~4回農場をまわって、回収。その後、パッケージセンターで洗浄や電解水による殺菌処理、予冷を行い、さまざまなオーダーに応じた包装を行います。そして再び冷蔵庫で予冷したのち、多くの野菜をその日のうちに出荷しています。
以前は各生産者が行っていた野菜の洗浄や包装などを一括して行うことで、生産者は栽培に集中することができるため、限られた人数でも作付面積を増やすことができるようになりました。
どのような「ワンヘルス」の取り組みを行っていますか
野菜作りの基本は「土づくり」から始まるという考えから、牛糞・樹皮(バーク)を発酵して作られる国内産完熟堆肥を使用しています。この堆肥を使うことで土質が柔らかくなり、野菜の育ちもよくなりました。また、当グループの野菜を卸しているコンビニエンスストアの食物残渣をリサイクルして作られた堆肥の使用を使う取り組みも行っています。
そして2019年にはJGAPの団体認証を取得しました。GAPとは農畜産物を生産するうえで生産者が守るべき管理基準とその取り組みのことを指し、JGAPは日本の標準的な農場に適した内容で策定されたものです。食品安全や労働安全、農場管理、環境保全などの観点から外部審査が行われ、その基準をクリアした個人や団体が認証を取得することができます。
生産におけるさまざまな作業を記録に残すこと等、大変な部分はありますが、生産者や従業員の意識が高まり、農場や作業場の整理整頓や清潔な環境の確保などに繋がっていると思います。また、取引先からJGAP水準の管理基準を求められることも増えているため、今後のためにも取得していてよかったと感じています。
「ワンヘルス」の取り組みをどう活用していきたいですか
福岡県が推進するワンヘルスの取り組みの一端を担う生産者として、今後も自信をもって安全・安心な野菜を届けていきたいと思っています。商品のパッケージに認証ロゴマークを付けているので、消費者のみなさんが選ぶ基準のひとつにしていただければうれしいですね。
また、ワンヘルス認証を受けたことで県産食材を使用する県内の飲食店との取引も決まったので、これからの販路の拡大にも繋げていきたいと思っています。
※インタビューは、2024年9月6日に行われたものです。
認証商品の取り扱い店舗
- イオン
- ゆめタウン
- セブン-イレブンの惣菜
※掲載店舗情報は、2024年9月6日現在のものです。