良質な牡蠣を育てることは、きれいな海を守ること。 安心・安全への追求は、ワンヘルスの理念に通じていました。
一般財団法人 豊前海区海洋環境保全協議会
豊前海北部漁協恒見支所 江口英利さん
北九州空港からほど近い曽根干潟の沖合で、22年間、「豊前海一粒かき」を養殖している江口さん。父親の代から続く手法を守りながらも、他県の漁場を視察するなど、同じ豊前海区の漁業者と協力しながら、養殖技術の向上に励んでいます。
- 認証品目
- 豊前海一粒かき
「豊前海一粒かき」について教えてください。
豊前海におけるカキの養殖は、1983年に現在の豊前海北部漁協恒見支所で始まりました。1997年、生産者たちが安心・安全なカキの供給などを目的に豊前海区かき養殖研究会を発足。漁場ごとに付けられていたカキの名称を「豊前海一粒かき」に統一しました。
大小さまざまな河川から栄養が流れ込む豊前海は、カキの餌となるプランクトンが豊富です。この恵まれた環境で育った「豊前海一粒かき」は、殻に対して身が大きく、プリッとした食感が特徴です。特に2から3月にかけて、濃厚な旨みがぎゅっと凝縮されています。直売会などのイベントでは、毎回楽しみにしてくださるお客様も少なくありません。
「豊前海一粒かき」の養殖方法で工夫している点について教えてください。
養殖していると、ホヤやフジツボといった生物が殻に付着し、カキの餌となるプランクトンを食べてしまいます。そこで一旦、カキを取り上げて洗浄機と手作業で付着物などを取り除きます。
一粒ずつきれいにしたカキは、カゴに入れてもう一度イカダに吊るします。そうすることで、カキの身入りがよくなり、より美味しいカキへと成長します。
こうした取組は手間と時間はかかりますが、「豊前海一粒かき」の品質を守るうえで決して欠かすことができません。一粒ずつ丁寧に殻を磨き、殻付きのまま出荷する方法は、「豊前海一粒かき」の名称の由来になっています。
どのような「ワンヘルス」の取り組みを行っていますか?
狭い範囲で大量のカキを養殖すると、潮通しが悪くなり、餌のプランクトンが十分に行き渡りません。これにより、カキの成長が阻害され、ストレスによるへい死に繋がる恐れがあります。このため、カキがよい環境の中で育つようにイカダとイカダの間隔を適切に空け、イカダに吊るすカキの数が過密にならないように調整しています。
また出荷時には、滅菌した海水に24時間浸けて洗浄するなど、出荷基準を満たしたカキだけが消費者のみなさんのもとへ届けられるのです。さらに、豊前海区の漁業者は定期的に海岸清掃を行っており、一人一人が、カキが育つ海をきれいにしたい強い思いを持って行っています。
「ワンヘルス」の取り組みをどう活用していきたいですか?
「豊前海一粒かき」がワンヘルス認証を取得していることを知っていただき、皆さんに「豊前海一粒かき」を食べていただく機会が、今よりもっと増えると嬉しいですね。これからも、品質を維持できるように工夫しながら美味しいカキを育てていきたいと思います。
※インタビューは、2024年11月12日に行われたものです。
認証商品の取り扱い店舗
- 豊前海北部漁協恒見支所
- かき焼き喰い処
- 北九州市内の水産店 など
※添付の店舗一覧をご覧ください。
※掲載店舗情報は、2024年11月12日現在のものです。