全国有数の生産量を誇る「福岡有明のり」。 有明海沿岸の基幹産業を守るために、 海の環境保全や地域でのPRに取り組んでいます。
福岡有明海漁業協同組合連合会
大和漁業協同組合 堤 俊之さん
福岡有明海漁業協同組合連合会を構成する漁協のひとつ、大和漁業協同組合に所属するのり漁師。柳川市大和町で祖父の代から続くのり養殖業を営む家に生まれ、18歳から漁業の道へ。現在は同じ志をもつのり養殖業の経営者と共に漁業法人を立ち上げ、生産性の向上やのり養殖従事者の育成、地域の漁業の発展へのアプローチなどを行っています。
- 認証品目
- のり
「福岡有明海漁業協同組合連合会」はどのような組織ですか
有明海に面した柳川市、大川市、みやま市、大牟田市の4市にある15の漁業協同組合を束ね、協同で事業を推進する組織です。各漁協の組合員はのり養殖に携わる漁師が多く、有明海の特性を生かしたのり養殖が盛んに行われています。パリッと歯切れがよく、口の中でとろけるのりは「福岡有明のり」というブランドで各地に出荷され、全国有数の産地となっています。
有明海でののり養殖にはどんな特徴がありますか
一般的なのりの養殖には、海面に網を浮かべる「浮き流し式養殖」と、海の中に支柱を立てて網を張る「支柱式養殖」という2つの方式があり、有明海では最大6mにもなる有明海の干満差を活かした「支柱式養殖」が主流です。満潮時にはのりが海水の豊富な栄養分を吸収し、干潮時には空中に出て乾くという過程を繰り返すことで、うま味成分のアミノ酸を多く含んだ柔らかく甘味のあるのりが育ちます。
堤さんが行うのり養殖について教えてください
私は祖父の代から続くのり漁師で、この道に進んで約20年になります。始めた当初は、漁場30小間(※1小間はのり網を10枚張れる広さ)程度の規模でしたが、法人化などを経て75小間までに成長しました。また今年度から同地区の3法人が集まって新しい会社を立ち上げ、約280小間の規模でのりの養殖を行っています。同じ方向をめざしている仲間と共に事業を行うことで、生産性の向上はもちろん、のり生産に携わる人材の育成、地域の漁業の発展にも寄与できればと思っています。
どんな時にのり養殖の大変さややりがいを感じますか
「支柱式養殖」では、海に出て作業ができるのは、のりが海に浸かっている満潮の時だけです。最適な状態で収穫するために夜間の摘み取りを行うことが多く、漁期である冬場の夜中に収穫作業を行うのはなかなか大変なことです。しかし、春から始まるのりの種付けや網の手入れ、支柱立てなどさまざまな工程を経て、良いのりを収穫できた時はやっぱりうれしいですね。
どのような「ワンヘルス」の取り組みを行っていますか
近年、プランクトンの増殖により栄養分が減少し、ここ3年はのりの生産量が平年の5~7割程度にとどまりました。福岡有明海漁業協同組合連合会では、大切な有明海の漁場を守るために、プランクトンを食べるアサリの生育環境の整備や、漂流物を回収する清掃作業などを行い、環境の保全に努めています。
また「福岡有明のり」を地域のみなさんにより親しんでもらえるように毎年2月には柳川市、大川市、みやま市、大牟田市の小・中学校の給食にのりを提供したり、同時期に大牟田市のショッピングモールで「福岡有明のり 感謝祭」を開催しています。このような取組を通して「福岡有明のり」のおいしさを感じていただければうれしいです。
「ワンヘルス」の取組をどう活用していきたいですか
イベントで「福岡有明のり」を販売する時など、ワンヘルスのロゴについてお客さまに尋ねられることがあります。まずはワンヘルスがどのようなものなのか、そして私たちがどのようなワンヘルスの取組を行っているか多くの人に知っていただき、想いに賛同していただけるように活用していけたらと思っています。
※インタビューは、2025年10月28日に行われたものです。
認証商品の取り扱い店舗
- 福岡有明海漁業協同組合連合会直売所 など
